珈琲 ん |
趣のある大きな扉をひらけると、「いらっしゃいませ・・・。」
と、和服に身を包んだ上品な小柄のママさんが、にっこりと微笑んで迎えてくれる。 落ち着いた風格のある調度品に囲まれた店の中を見まわし、あちこちに置かれた 梟の置物たちと目を合わす。 久しぶりね、元気だった?と、話かけてくる子・・・。 初めましてヨロシクとはにかむようににっこりする子・・・。 数えられないほどの梟たち。 梟は、《不苦労》と呼ばれるように縁起の良い鳥らしく、来るたびに増えているようだ。 そうこうするうちに、マイセンの器に入った香豊かな珈琲が登場する。 今日は、どの器が自分の前に置かれるのかワクワクする。 自分のねらっていた器が登場するとうれしくなる。 まるで子供心を擽られているかのようだ。 まずは、砂糖も、ミルクもいれずに ひ・と・く・ち・・・。 のどを転がっていくなんとも表しようの無い深みのある琥珀色の飲み物・・・。 あ・・・おいしい・・・ホット一息。 ゆっくりと優雅に珈琲をたてる・・・ 眼鏡の奥には珈琲にパワーを送りこむ一途なまなざしの中にも女性の優しさがあり 且つ店主としての力強さもあり小柄な純和風のおばあちゃま(失礼 !!)から漲る力は ものすごいものだ。 珈琲を飲んで一息。 ママさんとの会話でもう一息。 いつまでもながいをしてしまい自分の家以上に寛いでしまうこの館 《 ん 》 何も気取ることなく、何も足すことも無く、引くことも無く自分をさらけ出し寛げるお店は ここをおいて他にあるでしょうか。 一杯の珈琲にこめられたぬくもり、優しさ・・・。 ゆったりとうつろう空気の流れに身をまかせ豊潤な時を過ごせる喜びはなにものにも かえられない私の至福のひととき。 そして、本当の自分にめぐり逢えるのもこの館 《 ん 》ではないのでしょうか。 あなたも一度貴賓のある琥珀色の飲み物を味わいに立ち寄ってみてはいかがでしょうか? きっと、すばらしい出逢いが待っていることでしょう・・・。 |